ブログの書き方 ~実践編~

 

少し暇になったし、何か書きたい。でも何について書こう。最近みたいに単語からの連想で書くのも良いんだけど、そろそろテーマから書き始めようか。何かいいテーマがないかな。そういえばブログを始めた理由って、何だったっけ。自分の言いたいことを誰かに分かってほしいから?共感して欲しいから?もう忘れちゃったな。じゃあ今回はあえて、書くことそのものをテーマにするか。「書くのは好きだけど、実は書くことは怖いことだ。」みたいなことを言ってオチにしよう。反転するタイプのオチは決まりやすいし、ウケやすいだろ。そうなると、原研哉の『白』を読み直さないと。

本棚に目をやる。身体を右にひねり、左手で『白』を抜き取り、パラパラとめくる。文字列が視界に入る。ある程度目を通したら本を閉じ、座っているローソファの右側に放り投げる。

そしたら始め方を考えないと。今回はテーマを最初に出すか。最近の記事は分かりにくいせいか、ふぁぼ数が伸びないんだよな。いや、単に面白くないからか。とにかく文字を打たないと始まらない。そしたら

パソコンのフタを左手で空けると、暗くなっていた画面が光り出した。10本の指でキーボードを打つ。

「書くこと」が好きだ。

続きは、「読むこと」とかも織り交ぜながら好きに繋げてみようか。つかみなんてシンプルで良いだろ。読むほうも最初から期待なんてしてないって。えっと、 こんな感じでまとめようかな。

「書くこと」が好きだ。誰かの考えを「読むこと」も好きだけれど、やはり何かを生み出すことに喜びを感じる自分がいる。消費より制作。でも、どうしてこうなったんだろうか。

そしたらここに続くのは自分の経験で決まりだよね。やっぱり個人的な体験があった方が読んでる方も面白いし、なんか共感もしてくれるんじゃない?そしてなんてったって「ブログの書き方」なんて記事で「具体的な経験を入れるのはやりやすい」って書いたばかり。じゃあ何があるか考えて思い出を入れよう。思いつくのは、子どものころから自分で小説みたいなものを書くのが好きだったことかな。じゃあ、最初の一文は適当に

両手がリズミカルに動き、キーボードを叩く音が聞こえる。この一文を書く上で、バックスペースキーが4回叩かれた。

「書くこと」が好きだ。誰かの考えを「読むこと」も好きだけれど、やはり何かを生み出すことに喜びを感じる自分がいる。消費より制作。でも、どうしてこうなったんだろうか。

思いつくのは、子どものころから自分で小説みたいなものを書くのが好きだったことかな。

よし、次に具体的な経験? RPGに影響を受けたからドラゴンが出てきた話にしよう。で、先に繋ぎ方を考えておこう。そろそろ魅力的なワードを出したい。ここでこんなワードセンス?何言ってんの?みたいなの。このブログで重視してるところだからなあ。ドラゴンといえば、龍。龍と言えば、最近岡崎体育が『龍』というタイトルの曲出してたな。

スマホを手に持ち、フリック入力で文字を打ち込む。画面に表示された歌詞を目で追う。

「ここは私だけの場所」なんて歌詞、使えそう。本歌取りしてみようか。まとめると、RPGに影響を受けてドラゴンが出てくる小説でした、適当に『龍』を持ってきて、お得意の友達いないネタでもつなげよう。友達がいない自分にとって、紙は自分だけの場所だった、とかどう。良い感じじゃん。そしたら

「書くこと」が好きだ。誰かの考えを「読むこと」も好きだけれど、やはり何かを生み出すことに喜びを感じる自分がいる。消費より制作。でも、どうしてこうなったんだろうか。

思いつくのは、子どものころから自分で小説みたいなものを書くのが好きだったことかな。RPGに影響を受けてドラゴンが出てくる小説でした、適当に『龍』を持ってきて、お得意の友達いないネタでもつなげよう。友達がいない自分にとって、紙は自分だけの場所だった、とかどう。良い感じじゃん。そしたら

 

おかしい。よく見るとさっきからおかしかった。どうして単なる頭の中の考えがそのまま記事を書く画面に映し出されてるんだ?そんなところ、見せちゃいけない部分のはずだろ。そしてそもそも、これは誰が書いているんだ?自分のブログくらい自分の思い通りに書かせてくれよ。

キーボードには触れていない。しかし、勝手に文字は打ち続けられていく。

「書くこと」が好きだ。誰かの考えを「読むこと」も好きだけれど、やはり何かを生み出すことに喜びを感じる自分がいる。消費より制作。でも、どうしてこうなったんだろうか。

思いつくのは、子どものころから自分で小説みたいなものを書くのが好きだったことかな。RPGに影響を受けてドラゴンが出てくる小説でした、適当に『龍』を持ってきて、お得意の友達いないネタでもつなげよう。友達がいない自分にとって、紙は自分だけの場所だった、とかどう。良い感じじゃん。そしたら

おかしい。よく見るとさっきからおかしかった。どうして単なる頭の中の考えがそのまま記事を書く画面に映し出されてるんだ?そんなところ、見せちゃいけない部分のはずだろ。そしてそもそも、これは誰が書いているんだ?自分のブログくらい自分の思い通りに書かせてくれよ。

もう無理だ。やめてくれ。書くことと考えることは決定的に違うんだ。形があるかないか。形のないものから自分で取捨選択して、それを形あるものとして出力することが「書く」ということだろう。「言いたいこと」くらい自分で選ばせてくれ。誰かに理解してほしいんだ。共感してもらいたいんだ。言いたくないことを自分で選ぶ権利くらいあるだろう。

あれ、斜体になっていない。そうするとこれは誰の考えなんだ?自分の考えではないのか。いや、そうに違いない。そうであってくれ。そう信じたい。そう信じるしかない。自分の考えとは一体何なんだ。自分の思い通りに書くとはどういうことなんだ?どうやったら、思い通りに理解してもらえる?もう、何も分からなくなってきた。

 

パソコンの画面が怪しく光る。手で顔を覆うしかない。

 

 

。自

 

最後に、キーボードのタイプ音が高らかに鳴る。

 

実は書くことは怖いことだ。