人間関係についての試論

 

最近SNSなんかで沸き起こるフェミニズム系の議論やハラスメント系の話題を陰から見ているとなんとも言えない気持ちになるし、そのつもりがなくても自分が非難されるべきことをやってしまっているのかもしれないという自戒を強めざるを得ない。(あくまで例えだが)「男性は反論しがち」みたいな主張に対して強い感情を持って反論しているリプとかを見ると、その反論が正しいか正しくないかは別にして、こんな恥ずかしい状態にはなりたくないなあと思うことがよくある。


特に気をつけなければと思うのが権力の勾配、最も身近なところでは先輩後輩の関係である。現役の時から出来るだけ意識するようにはしていたけれど、OBになってから尚更色々考えるようになった。

現役の時の話を少しするならば、最低限2つだけ意識するようにしていた。1つ目は特定の後輩を特別扱いしているようには振る舞わないこと。もちろん心の中で気に入っているレベルの違いはあったけれど、意識的に平等に努めていた。そして2つ目は、あまり後輩に指図をしないようにすること。後輩に仕事を覚えてもらう必要もあるし、立場的にやってはいけない場合も多いので全てがそうという訳ではないが、一般に後輩がやるような仕事も出来るだけやるようにしていた。

とはいえ、そもそも意識出来ないことには気づきようがない。「何でもは知らないわ、知ってることだけ」という名言があるけれども、自分が後輩に気を遣っているように思うのならば、それは自分が見えている範囲だけを見て言っているに過ぎないのかもしれない。


少し前に所用で練習にお邪魔することがあったけれど、一切自分から後輩に話しかけないようにした。更には、(これは非難されるべきことではあるけれど)一言も実技指導をしなかった。特に2年女子とかを見ていて、「この場所をこう意識すれば絶対上手くなるのに」など思うことはいくつかあったけれど、向こうからしたら関わりのない先輩(しかも男)が突然出てきて講釈を垂れる(マンスプレイニングと言ってもいい)のは、ちょっといいかなと感じたからだ。

その結果、7時間いてちゃんと中身のある会話をした後輩はたった1人である。おそらく新記録だと思う。3人くらいとは話せるかなと思っていたので少しだけ残念だった(もちろん君たちが悪い訳ではないです)。

同様に、自分から後輩を遊びに誘うこともしないようにした。自分から日程を提示したりすると強制力があるなと感じたのでただ「〜はどう」みたいな感じなのだけれど、そうすると日程決めとかの面倒ごとを全て後輩に押し付けることになってしまうのが難しいところである。ただはっきり言ってしまえば、別に反応がなければそれだけのことに過ぎない。


改めて考えてみると、自分が先輩から話しかけられたからといってハラスメントだとか面倒だとか思うことは決してないし、むしろありがたいなあと思う。けれどもそれは先輩の人柄とか性格ありきであって、自分の場合は決してそうはならないのではないか、とも思う。考えすぎかもしれないけれど、考えすぎるくらいでちょうどいいのかもしれない。「出る杭は打たれる」というが、出なければ打たれることはない。